[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
それが、女だった。
鳶色の真っ直ぐな瞳の、ちょうど誰かに嫁ぐような年頃の娘。
丁寧に編まれた髪をなびかせ、華やかな色で飾られた服を纏う。
しかし彼女の右手に握られているのは機ではない。
彼女の左手に握られているのは刺繍針ではない。
彼女を包む空気は花の香りをはらむそれではない。
――レスール。
そういう名の娘は、月毛の毛並みの馬を駆る猛者だった。
右手に握られているのは三日月斧。
左手に握られているのは手綱。
背には弓と矢を負い、腰には円月刀を穿く。
空気は、血の臭いにむせかえる。
他を圧倒する、その眼差し。
レスールは馬上でわずか立ち上がり、速度を一気に上げた。
彼女の愛馬は敵軍を抜き去り、そしてその瞬間に主の求めに応じて反転した。
手綱さばきのみで馬体を巡らせ、レスールは敵軍に真正面から突っ込む。
体を伏せるようにして低くし、右手の三日月斧を振るう。
狙いあやまたずにその刃は雑兵の首を跳ね飛ばし、返す刃で次の相手の胸元をたたきつぶす。
通常のそれよりも一回り大きな斧は鎖骨ごと骨をえぐり、相手の命を奪い去った。
彼女が右手を振るたびに命が一つ消える。
主を失った馬がてんでばらばらに走り回り、視界を塞ぐ中を彼女は正確な手綱さばきで駆け抜けていった。
「よう、アーゼル。不景気な顔をしてどうかしたか?」
アゼルヴィンザーデの眼前で馬を止めた彼女は、笑った。
返り血は彼女の全身を濡らし、飛び散った肉片は所々に張り付いている。
月毛の美しい馬もまた、無惨な色に染まっていた。
赤ではない。
そんな美しい色ではなく、もっとより生々しい淀んだ桃色とくすんだ赤茶色だ。
それでも、レスールは笑っていた。
「すごいものだな」
「当たり前だ。私を誰だと思ってる」
言いながら、レスールは三日月斧を振って血を払う。
普通女に扱えるような重量ではないそれを、彼女は軽々と扱う。
「それとも何か? 今更おじけづいたか、アゼリー」
「その呼び方はやめろと言った筈だ。……おじけづいてなどいない」
「そうだな。でなければ困る。私が何のために殺し尽くしているのか分からんからな」
「……」
この娘は命を奪うに躊躇うことをしない。
真っ直ぐに敵を見、一撃で屠る。
――恐ろしい娘だ。
こんな感じ。
生死のバランス云々の話は残したいけど。
シャアルとうまく絡ませられるかどうか。
いっそシャアルと対立するのも面白いかもしれない。
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
アンテナが多すぎて一番が決められない。
時々ネガティブ。
低空飛行多し。
創作はラノベのようなそうでないような。
堅苦しいファンタジー書きを目指している。
中国やトルコやモンゴルが好き。
歴史学と民俗学のフィールドに生きる。
感情的になりやすくかなりタカ派。
過激な発言で他人を害しやすい。
直さねばとは思うものの、難しい。